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本の要約、メモ、書評など。

ベルクソン

<第四回>ベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』を読む

さて、今回は第三章=自由についてです。第二章で明らかとなったことは、我々の内的感情は「本来的」には様々な感情が相互に浸透する表現不可能なものである、ということでした。この内的感情をベルクソンは「持続」の相からとらえなおし、次々に継起する心…

<第三回>ベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』を読む

さて、第三回も前回に引き続いて第二章を読み進めていきます。 第二回では、二つの多様体——数的多様体と質的多様体——についての議論を追っていきました。前回の最後で提起されていたのは、「空間」と「時間」について、数的/質的の区別に照らして論じると、…

<第二回>ベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』を読む

第二回は、第二章(意識的諸状態の多様性について——持続の観念)を読み進めたいと思います。 第二章に入る前に、第一章の振り返りの意も込めて、本章で用いられる概念について少し説明を加えておきましょう(第一章から出てきている概念ではあるのですが、わ…

<第一回>ベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』を読む

ふだん、私たちは、ある感覚と別の感覚を比較し、この苦しみの方があの苦しみより大きいとか、今日の悲しみはあの日の悲しみの二倍だとか言ったような形で、感覚を大小の量的な仕方でとらえています。ベルクソンは、このような感覚を量的に考えることはまっ…