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本の要約、メモ、書評など。

【読書メモ】井筒俊彦『意識と本質』

井筒俊彦『意識と本質―精神的東洋を索めて』(1991、岩波文庫) 1983年に刊行された井筒俊彦の代表的著作。副題の「精神的東洋を索めて」が示すように、井筒は、「自分の実存の「根」は、やっぱり東洋にあったのだ」(p409)という痛切な自覚から、本著で「東…

<第四回>ベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』を読む

さて、今回は第三章=自由についてです。第二章で明らかとなったことは、我々の内的感情は「本来的」には様々な感情が相互に浸透する表現不可能なものである、ということでした。この内的感情をベルクソンは「持続」の相からとらえなおし、次々に継起する心…

【読書メモ】井筒俊彦『イスラーム思想史』

井筒俊彦『イスラーム思想史』(2005、中公文庫) イスラーム世界の原点となったコーランの思想的構造の解明から出発し、コーランの章句を知的に反省することから生じた「思弁神学」、イスラーム文明の現世的享楽主義に対する反動として現れた「スーフィズム…

【要約】臼杵陽『「ユダヤ」の世界史——一神教の誕生から民族国家の建設まで』

臼杵陽『「ユダヤ」の世界史——一神教の誕生から民族国家の建設まで』(2019、作品社) ユダヤ人の4000年の歴史をその多様性という観点からとらえなおし世界史の流れの中で叙述した一冊。エレツ・イスラエルを追われたユダヤ人がシオニズムによって国家を取り…

【読書メモ】舟木亨『現代思想史入門』(3章 歴史)

舟木亨『現代思想史入門』3章―歴史(pp.214-306)(2016年、ちくま新書)

【読書メモ】内藤正典『アッラーのヨーロッパ』

内藤正典『アッラーのヨーロッパ』(1996年、東京大学出版会)

【要約・読書メモ】マックス・ヴェーバー『宗教社会学論選』

マックス・ヴェーバー『宗教社会学論選』(翻訳)大塚久雄・生松敬三(1972年、みすず書房) ウェーバーの代表的論文「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」が収録されている大著『宗教社会学論集』(全3巻)からのプロ倫を除いた抜粋論文集。

【読書メモ】斎藤純一『公共性』

斎藤純一『公共性』(2000年、岩波書店)

【読書メモ】竹田青嗣『現象学入門』

竹田青嗣『現象学入門』(1989年、NHKブックス)

【読書メモ】チャールズ・テイラー『今日の宗教の諸相』 

チャールズ・テイラー『今日の宗教の諸相』(訳)伊藤 邦武、佐々木 崇 、三宅 岳史(2009、岩波書店)

【読書メモ】イブン・タイミーヤ『イブン・タイミーヤ政治論集』

イブン・タイミーヤ『イブン・タイミーヤ政治論集』(訳)中田考(2017、作品社)

【読書メモ】中村廣治郎『イスラム——思想と歴史』

中村廣治郎『イスラム——思想と歴史』(2012、東京大学出版会)

【要約】吉川卓郎『イスラーム政治と国民国家——エジプト・ヨルダンにおけるムスリム同胞団の戦略』

吉川卓郎『イスラーム政治と国民国家——エジプト・ヨルダンにおけるムスリム同胞団の戦略』(2007、ナカニシヤ出版) 中東やイスラームを本質主義的に一元化する議論に対し、エジプトとヨルダンの同胞団の活動に焦点を当てることで、それらの多様性や地域性を…

【読書メモ】アブドル=ワッハーブ・ハッラーフ『イスラムの法——法源と理論』

アブドル=ワッハーブ・ハッラーフ『イスラムの法――法源と理論』(訳) 中村 廣治郎(1984、東京大学出版会)

【要約】アルベール・マチエ『革命宗教の起源』

アルベール・マチエ『革命宗教の起源』(訳)杉本隆司 (解説)伊達聖伸 (2012、白水社)

【読書メモ】高田宏史『世俗と宗教の間——チャールズ・テイラーの政治理論』

高田宏史『世俗と宗教の間——チャールズ・テイラーの政治理論』(2011、風行社) (※自分の興味がテイラーの世俗主義論にあることから、以下メモ書きはほとんど『世俗の時代』周辺の記述のみです。)

【読書メモ】デヴィッド・グレーバー  『民主主義の非西洋起源について』

デヴィッド・グレーバー『民主主義の非西洋起源について』(訳)片岡大右(2020年、以文社) 「民主主義はアテネに起源を持つ西洋起源の理念である」という通説の誤謬を明らかにした刺激的な一冊。そもそも現在的な意味(肯定的な意味)で民主主義の語が使われる…

【要約】リチャード・E・エヴァンズ『第三帝国の歴史 第一巻——第三帝国の到来(下)』

リチャード・E・エヴァンズ『第三帝国の歴史 第一巻——第三帝国の到来(下)』(監)大木 毅 (訳)山本 孝二(2018、白水社) 『第三帝国の到来(上)』の続き。下巻となる本書は世界恐慌からヒトラーの政権掌握までを詳述。

【要約】リチャード・E・エヴァンズ『第三帝国の歴史 第一巻——第三帝国の到来(上)』

リチャード・E・エヴァンズ『第三帝国の歴史 第一巻——第三帝国の到来(上)』(監)大木 毅 (訳)山本 孝二(2018、白水社) 本書は、ビスマルク以降のドイツの歴史を幅広い視点から大ボリュームで論じた『第三帝国の歴史』の第一巻である。しばしば議論に上が…

<第三回>ベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』を読む

さて、第三回も前回に引き続いて第二章を読み進めていきます。 第二回では、二つの多様体——数的多様体と質的多様体——についての議論を追っていきました。前回の最後で提起されていたのは、「空間」と「時間」について、数的/質的の区別に照らして論じると、…

<第二回>ベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』を読む

第二回は、第二章(意識的諸状態の多様性について——持続の観念)を読み進めたいと思います。 第二章に入る前に、第一章の振り返りの意も込めて、本章で用いられる概念について少し説明を加えておきましょう(第一章から出てきている概念ではあるのですが、わ…

<第一回>ベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』を読む

ふだん、私たちは、ある感覚と別の感覚を比較し、この苦しみの方があの苦しみより大きいとか、今日の悲しみはあの日の悲しみの二倍だとか言ったような形で、感覚を大小の量的な仕方でとらえています。ベルクソンは、このような感覚を量的に考えることはまっ…

はじめに

はじめまして。本ブログでは、主に読んだ本について、要約、感想、書評等をつらつらと書いていこうと思います。これまでインスタで読書記録を残していたのですが、インスタでは書ききれないことも多く、そもそもインスタというフォーマットで長文をだらだら…